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毒のお話
毒ガス

Poison


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思えば、最近戦争だとか銃だとか物騒なお話ばかり書いているような気もしますが、今日は 毒物 について少し。







毒にも様々な種類があり、人体に対して比較的無毒なものから、ほんの微量でも人を死に至らしめるものまで何千、何万種類とあります。


今日はその中でも、割とメジャーなもの数種類について書いていこうと思います。


(・・・少しここからの説明の順番が回りくどくなっちゃっているかもしれませんが、毒物は複雑な作用機構を持つので、本文も少し複雑なプロセスになってしまいました。ご容赦ください;)
















突然ですが、毒の話に入る前に人間の 『呼吸運動』 について少し。



人間は普段 呼吸 をして酸素を体内に取り入れていますが、この呼吸は2段階のプロセスに分かれています。


口で空気を吸って、肺に取り入れる 一次呼吸 (外呼吸) と、血液によって運ばれた酸素を細胞が取り入れる 二次呼吸 (内呼吸) の二つです。


このどちらが阻害されても人間は死んでしまいます。


特に、内呼吸を阻害された場合は深刻で、ほんの数分で死に至ります。







・・・なぜ急に呼吸のお話をしたのかと言いますと、毒物を語る上でこの 『呼吸』 というプロセスは切っても切れない関係にあるためです。


多くの毒物は、この 呼吸プロセス を阻害することによって毒性を発揮するのです。


青酸カリに代表されるシアニド系 (無機系の一種) の毒物も、サリンなどに代表される有機リン系の毒物も、硫化水素や一酸化炭素に代表される無機系の毒物も、すべて何らかの形でこの呼吸プロセスを阻害することによって人を死に至らしめます。


また、その他にもパラコートなどに代表されるビピリジニウム系の農薬毒も、間接的に肺を破壊して呼吸機構を侵食することによって毒性を発揮するため、上記の毒物たちの仲間とも言えます。


また、フグや一部の蛇などが持つ神経毒も代表的な呼吸阻害系の毒です。



これらの毒は、全て何らかの形で 呼吸 を邪魔してきます。











実は、毒によるものに限らず我々人間が死ぬ時というのは、そのほとんどが 呼吸や酸素分配が阻害 されることが間接的な死因になっています。


例えば 出血多量


出血なのに呼吸障害!? って初めて勉強したときは私も思ったものですが、出血多量死も立派な呼吸阻害による死です。


出血によって血液の酸素運搬が困難になった結果、細胞が必要とする分の酸素が得られず、内呼吸が阻害されることによって死に至るのです。


特に 脳細胞 は、体内で最も酸素を必要とする機関なので、真っ先にやられてしまいます。


そしてさらに、脳細胞の中でも視神経などをつかさどる分野の脳は特に酸素を必要としているため、脳の中でも一番最初にダメージを受けてしまいます。


なので、ドラマや映画などで刺されたり撃たれて出血した人物が死ぬ間際に 「目がかすんできやがった・・・」 などと発言しているのは、フィクションにしては意外と理にかなった表現であると言えるでしょう。
















毒物に数多の数あれど、猛毒として人類に定着してきたものは殆ど呼吸を阻害するタイプの毒が多いと最初に申しましたが、毒によってどのように呼吸を阻害するのかが全く違うため、大雑把に以下4つのように分類しました。



1.内呼吸を直接阻害するタイプ


青酸カリ (シアン化カリウム) や硫化水素、一酸化炭素などがこのタイプです。



内呼吸、すなわち細胞の呼吸を直接阻害する成分が含まれており、これが体内に取り込まれると体中の細胞が酸欠に陥り、最終的には体中の細胞 (特に脳や心臓) が酸欠に陥ってそのまま死に至ります。


非常に即効性のものが多く、場合によっては毒を受けてから数分で死んでしまいます。







青酸カリの毒性を例にとると・・・


青酸カリ (シアン化カリウム) が胃酸などと混ざって発生する 『シアン化水素』 が体内 (血液中) に入ると肺で赤血球 (ヘモグロビン) に酸素より優先的に結合し、酸素運搬の邪魔をします。


さらに全身の細胞内の電子伝達系酵素の活動を阻害し、細胞のエネルギー精製に不可欠なアデノシン三リン酸 (ATP) の合成を妨害することによって細胞を機能停止に追い込むことで人間を殺します。




細胞と言うのは酸素とブドウ糖などのエネルギー源を元に、体内電気や熱エネルギーを作り出す工場のようなものです。


その工場に材料 (酸素) を納品できなければ、この工場はストップせざるを得ません。


その結果、従業員 (各細胞) に給料を出せなくなったこの工場は次々に潰れてしまいます。


そうして、心臓や肺などの重要な生体維持機能が停止してしまいます。




これらの即効性および確実性が、内呼吸阻害系の毒素が毒の王様として恐れられる所以でもあります。













2.外呼吸を直接阻害するタイプ


外呼吸・・・すなわち、普通に口から息をすって吐く、という行為そのものを阻害する毒がこのタイプです。


塩化水素 (混ぜるな危険!で発生するガス) や、ルイサイトなどの窒息剤などがこれにあたります。



また、前述の内呼吸阻害剤である硫化水素や人類が作り出した毒ガスであるマスタードガスなども、こちらの外呼吸阻害剤としても働きます。


中でも化学兵器である 『マスタードガス』 (ビス(2-chloroethyl)スルフィド) はその威力が突出して高く、エアロゾル化した粒子や蒸気を口から吸い込んだりすると鼻粘膜や気道が激しく刺激され気道浮腫や ARDS (急性呼吸窮迫症候群) などを併発して呼吸不全に陥ります。

(このガスは、他にも様々な有害な効果を持ち、外呼吸阻害はその一つに過ぎません。特に皮膚や粘膜に対する作用が強い。有効な解毒剤は存在せず、迅速な除染が最大の障害軽減法とされています)。




外呼吸阻害剤 (窒息剤) は普通は気体であり、これを人間が吸い込むと喉や気管支、肺などに強い刺激を与え損傷させます。


たとえ気管支などが無事でも、肺はこれらのガスに敏感に反応してしまうため、しばらくそのままでいると肺水腫などの重篤な肺障害を併発してしまいます。


すると、呼吸器が圧迫されて呼吸困難を起こし、肺を通して血中に酸素を送ることが出来なくなって最終的に窒息死します。


この場合の死亡までのプロセスは、外呼吸阻害 → 内呼吸阻害 と二段階に分けて進むので、内呼吸阻害剤に比べると死ぬまでに時間が掛かることがあります。

(つまり、救命出来る可能性も高くなる)







・・・余談ですが、暴徒鎮圧・護身用の催涙ガスなどはこのあたりの毒ガスの研究から作られたものです。


一般的に使われる市販用の催涙ガスは 塩化フェナシル (クロロアセトフェノン) という物質が入っており、元々は米軍が戦闘用の毒ガスとして開発したものです。

(通称:CNガス)



催涙ガスを喰らっても我慢すればなんとか耐えられそうな気がしますが、上記のとおり毒ガスの一種 (後遺症が残りづらいタイプというだけ) なので、絶対に耐えられないと考えて間違いないです。




ちなみにこのCNガス、科学的に合成された催涙剤のため毒性や発がん性などについて未知の部分が多く、最近ではさらに進化した OCガス (いわゆるトウガラシスプレー) が民間用では主流になってきています。


唐辛子と聞くとなんだか効果が弱そうな気がしますが、実際はOCガスのほうがCNガスより強力で、その効果はクマ避け用の護身用ガスとして使われるほどです。

(特に対獣用の油溶性の催涙スプレーは効果が強力極まりなく、対人用途で使用すると最悪の場合死亡することがある)















3.外呼吸を間接的に阻害するタイプ


息を出来なくすると言う点では上記の直接呼吸を阻害するタイプの毒と同じですが、呼吸器官ではなく、「呼吸運動そのもの」 を阻害するタイプの毒がこのタイプです。


フグや毒蛇の神経毒、『サリン』 や 『ソマン』 『VXガス』 などの人為的に作り出された毒ガスの一部 (神経ガス) がこのタイプに入ります。


これらの毒は、人間の脳細胞から筋肉細胞などへの命令伝達系統を阻害することで毒性を発揮します。


人間は、脳から 「筋肉を動かしなさい」 という命令を体に伝えることで筋肉を動かしています。


当然、心肺機能もこの命令によって調整されています。


この命令の送受信のどちらが阻害されても呼吸や心臓は止まってしまいます。


そしてその阻害剤として働くのが神経ガスというわけです。




これらの症状の進行過程は同じ神経ガスや神経毒のカテゴリーであっても種類によって多少の差異があります。

(一部、後述)


ただ、どれも最終的には神経伝達の阻害による呼吸困難、心肺機能の低下、停止といった諸症状が出る点では一緒です。








毒とは直接関係ありませんが、何かの事故などで首や背中に大きな負荷が掛かって脊髄などに損傷を受けると (中でも頸髄への損傷は非常に危険)、脳からの命令が体の筋肉に伝わらなくなってしまい、そこから下の筋肉等が一切動かせなくなってしまいます。

(いわゆる半身不随や全身麻痺といった症状)


損傷が深刻な場合は直ちに心肺機能が停止して死に至ります。




サリンなどの毒は、疑似的にこれと同じように働いてしまうのです。


脳から筋肉全般への指令が伝わらなくなるわけですから、症状としては 「しびれ」 や 「ひきつけ」 「けいれん」 などがまず起こり、その後徐々に体中の筋肉が麻痺していき、最終的には心肺機能を動かす筋肉も麻痺して呼吸が強制的に停止させられてしまうという恐ろしい毒です。


これらの神経毒は、特に生物が持つ物については解毒剤がほぼ存在していないため、一度中毒を起こしてしまうと何も対処出来ないままそのまま死亡してしまう・・・ということにもなりかねません。

(サリンなどの人為的に作り出された神経毒については、一部解毒剤が存在します)









サリンやソマンなどの神経ガスは戦時下のナチス・ドイツで開発された毒ガスです。


このガスは、人体に対する殺傷能力が非常に高く、軍事用に精製された高純度のサリンなどは完全な無色無臭で攻撃された側からすればいつ攻撃されたのかもわからないまま死んでしまう恐怖のガスでした。


しかし弱点もあり、例えばサリンガスを例にとればこのガスは化学的に不安定なので空気中に四散してしばらくするとその中の水分などと反応して毒の効力が弱くなります。

(同様の理由で水に混ぜて液体毒として使う事も不可能)


また、サリンガスは比重が軽いので空気中にばら撒いてもすぐに風などに流されて希薄になります。


これらの兵器としてのサリンの弱点を補うべく開発されたサリンの後継の毒ガスがVXガスです。


VXガスは化学的に安定でサリンより比重が重いので、長期的にその場にとどまり一帯を汚染し続けます。


このVXガスは戦後にイギリスで開発されました。








その後は、戦時中の革新的技術が戦後に民間技術として転用されていった例に漏れず、この危険な神経ガス技術も一部が流用され現在も広く使われています。



そうです・・・殺虫剤 です。


一般家庭用の極弱い (殺虫成分の濃度の薄い) 殺虫剤であっても、あの生命力豊富なゴキブリを一撃必殺出来ることからも神経ガスの凄まじさが垣間見えるというもの。

(そもそもサリンなどの神経ガス自体、殺虫剤の研究の過程で偶然発見されたものです)



もちろん、人間と虫とでは代謝機構が違うのでもし誤って誤吸引してしまっても人体に対しては無害、もしくは非常に低害で済みます。


ただ、害虫駆除などに使われる業者向けの強力な殺虫剤は吸い込んでしまうと人間でも被害を受ける場合があるので、その手の駆除薬は毒物及び劇物取締法や農薬取締法によって購入、販売に制限が設けられています。

(購入時の年齢確認や譲受書記入義務など)


















4.その他の猛毒


これら以外の猛毒として、日本国内で有名なものは パラコート や一部の猛毒キノコなどでしょうか。


パラコートは除草剤として使われる農薬で、キノコは誰もがご存知のあのキノコです。


なぜこれらを同列にしてお話をしているのかと言いますと、これらの毒は人体に入ってから発揮する毒性が非常によく似ているためです。

(キノコの毒は千差万別あり、ここでは致命的な内蔵破壊毒を持つキノコについて扱います)




パラコートは、イギリスで開発された除草用の農薬で、日本では1960年代後半頃から農家などで使われ出しました。


当初はその高い除草効果と、安価でその後に植える作物に影響を与えづらいという利点を見込まれ、国内でも広く使われた農薬でしたが、使用され始めた当初から誤飲や誤吸引による事故が散見され始めました。


1980年代になるとその毒性の高さが一般にも広く知られるようになり、安価で簡単に手に入れられる他殺や自殺用の毒薬として使われ出すようになってしまいました。


特に、1985年にはパラコートを使った無差別殺人事件も起きてしまい、死者13人を出すと言う惨事になってしまいました。


この1985年の1年間だけで、事故・自他殺合わせて1000人以上もの人がこのパラコート毒で亡くなるという事態になり、大きな社会問題になりました。


そのような経過を得ても、パラコートが除草剤としては依然有用であったため、2000年代になっても農薬として使われ続けました (日本では生産自体は1999年に中止、使用すること自体は現在も禁止されていない)


また、最近では2005年から2007年にかけて、パラコート剤がインターネットオークションに出品されるという事件もありました (もちろん保健所によって即刻削除。自殺を促すような目的で故意に出品すると逮捕されます)。









パラコート剤の毒性は、主に内臓を侵食することによって発揮されます。


パラコートが体内に入ると、まずゆっくりと時間をかけて体細胞に吸収されていきます。


経口摂取 (口から飲んだ場合) で入ってしまった時は、すぐに胃洗浄をすれば助かるときもありますが、多くの場合は自分がパラコートを吸いこんでしまったことに気づいておらず (自殺を除く) 数時間もするとパラコートは胃を通過してしまうので除染は困難になります。


そして、一度血中に入り込んでしまうと現代の医学を持ってしても救命が非常に困難な諸症状を併発し始めます。



まず、肝臓がやられます。


肝臓は体内の毒物の解毒機構を受け持っており、パラコート毒が集められるのが原因ではないかと言われていますが、詳細は未だ分かっていません。


続いて、毒を排泄しようとした腎臓がやられます。


さらに、腎肝障害と並行して肺障害が進みます。


パラコート毒は酸素と結び付いて活性酸素を多量に発生させる特性があるため、体内でも最も酸素濃度が高い肺が活性酸素などによって浸食されてしまいます。


そして、肺線維症 (肺が穴だらけになる) に至り、酸素を体内に取り入れることが出来なくなってしまい、最終的にはチアノーゼを起こして死に至るのです。




パラコートによるものでなくても、腎障害や肺線維症は恐ろしい病であり、一度この病気を併発してしまうと基本的に一生回復することはありません。


1989年に、当時52歳だった美空ひばりさんの命を奪ったのも、この肺線維症でした。






パラコートによる肺侵食は大量服毒の場合は一気に進むため、肺水腫などの重篤な肺障害を引き起こして2~3日で人間の命を奪ってしまいます。


ところが、体内に入ったパラコート毒が少なかった場合は特に悲惨で、じわじわと肺が線維化していき、最終的に死に至ります。


概ね一週間から二週間程度、肺障害が原因の呼吸困難で苦しみ抜いて死んでいきます。


これよりもさらに服毒量が少ないと、数か月に渡って苦しむことになるケースもあるそうです (結果的には高確率で死んでしまいます)。


一度服毒して体内に毒がまわってしまえば、現代医学を持ってしても有効な解毒剤が存在していないため、ただただ死を待つことになってしまいます。




これら非常に悲惨な毒被害の進行経過なども相なって、最も死者を出した1985年を皮切りにパラコートの規制を求める声が医師や薬剤師の中からも出始め、最終的には前述のように1999年を持ってパラコート自体の国内生産は中止されました。











また、一部のキノコ類の持つ毒にはこのパラコートと同様に内臓を侵食するものがあります。


日本の三大猛毒キノコとして知られる、ドクツルタケ、タマゴテングタケ、シロタマゴテングタケ は、いずれも内蔵侵食系の猛毒を持ちます。


これらの猛毒キノコを摂取してしまうと、おおよそ半日から丸一日の潜伏期間を得て、まず強烈な腹痛・嘔吐・下痢が症状として出始め、これらの症状が治まったと思ったら、続いて内臓破壊系の毒物特有の腎肝障害を併発し、やがて死に至ります。


パラコート系毒物にも言えることですが、これらの内蔵破壊系の猛毒には今のところ有力な解毒剤が無く、もし摂取してしまった場合は直ちに胃にあるうちに胃洗浄を行わなければならないのですが、上記のとおり自覚症状が出るのが遅く、若い人なら1~2時間、高齢者でも3~4時間もすると胃を通過してしまって症状が出た時には (出るまでに24時間以上掛かることもあります) 手遅れになることが多いです。


一般的に、毒物に対する胃洗浄は1~2時間以内に行わないと効果がありません。キノコを食べたり農薬を散布した後で、自分の体が少しでもおかしいと思ったら、迷わず病院に駆け込みましょう。


パラコート (メチルビオローゲン) や 上記の猛毒キノコの毒の主成分である α-アマニチン、ファロトキシン、ビロトキシン 等の肝臓や腎臓等に対する破壊効果は凄まじく、一度体に体にまわってしまうとたとえすぐに病院に駆け込んだ場合でも半数以上の方が亡くなっているので、一刻も早い治療が不可欠です。


2~3日放置した場合は、まず間違いなく死んでしまうでしょう。


特に、パラコートの場合は皮膚についただけでも吸収されてしまうので、手に付いたリしただけでも注意が必要です。


これらの治療の難しさも、パラコートの販売停止を後押ししたと言われています。



















毒についてのその他のお話


毒物の歴史は古く、人類が文明を持つに至った紀元前の時代から狩猟や暗殺に広く使われてきたものです。


太古の時代から暗殺の常套手段として使われ、中世の時代には毒と言うのは魔法の一部だと考えられるようになりました。


童話の中で白雪姫を殺したのは魔女 (老婆) に扮した王妃が調合した毒ですが、中世のヨーロッパなどでは 毒 = 魔女が調合したもの という、毒を一種の魔術や奇跡の一部として扱う風潮が浸透していました。


今でも、魔女と言えば鍋やツボに入った怪しい毒物を混ぜている・・・というイメージが一般に浸透しているのはこのためです。







近代になっても、毒が暗殺や自殺などの道具として使われている点はあまり変わりありません。


特に、フィクションの世界、中でも推理小説の分野では 『青酸カリ』 などを始めとする各種の毒物の存在がなければ、今日までのミステリー文学の発展は無かったと言っても過言ではないでしょう。



ただ、これも良く言われることですが、一般に青酸カリなどの毒物は人間に対する致死量が割と多く、フィクションの世界などでよく言われる 『耳かき一杯で死に至る』 といったことはありません。


青酸カリは脊椎動物全般にとって致命的な猛毒ですが、人間は脊椎動物 (哺乳類・鳥類・魚類・爬虫類・両生類など) の中ではトップクラスに大型の生物なので、わずかな毒物では死んだりはしません。




良く、『ゾウをも眠らせる麻酔薬』 などと言ったふれ込みを持つ薬がありますが、ゾウはご存知の通り陸生哺乳類のなかで最大の大きさを持つ動物なので麻酔や毒が効きづらく、それ故によく引き合いにだされます。


体が大きいということは当然ながら体の中を流れる血液の量も多く、また代謝機構も強力なので毒が効果を致命的な程発揮しないのです。





確かに、人間は割と大きいとは言ってもさすがにゾウには遠く及びません。


しかしながら脊椎動物全般で見ると、人間より大きな動物というのは一部の野生動物を除いてはほとんど存在していません。


人間というのは、思っている以上に大型の生物なのです。


故に、ゾウの例と同じく少量の毒に対しては耐性があります。


水道水の消毒用塩素で人間が中毒を起こさないのも、殺虫剤や農薬で虫や雑草だけを殺せるのも、すべてこの人間の高い毒物耐性があってこそ成り立つのです。







そのため、人間に毒物を飲ませて死亡させるといった手段を取る場合は、この致死量の高さが問題になるケースがあります。


例えば、青酸カリ (シアン化カリウム) は致死量が成人の場合、150~300mg程度と推定されています。


確かにこれは僅かな量だと言えますが、毒殺を目的にこれを飲み物や食べ物に混ぜる場合、薄まってしまうためさらに多量の青酸カリを混入しなければなりません。


仮に、コーヒーなどに青酸カリを300mg入れた場合、致死量に達するためにはそのコーヒー一杯を全部飲んでもらう必要があります。


しかし、同時に青酸カリは強烈な苦みを持つ薬剤でもあるので、カップ一杯200ml程度のコーヒーに300mgも青酸カリを混入すれば、一口でバレてしまうでしょう。

(青酸カリは強アルカリ性のため、皮膚を侵食して強い苦みを感じる)


当然、その場合は毒殺は失敗になります。


かといって、一口で致死量に達する程に青酸カリを混入すれば、一口飲むどころか匂いだけで異物が入っていることがバレてしまいます。

(たとえ口にしてくれたとしても間違いなく吐き出されてしまうでしょう)


また、味をごまかそうとしてオレンジジュースやレモンジュースのような酸性の飲み物に混ぜると、混ぜた瞬間から猛毒のシアン化水素が発生してしまい、混入した本人が死んでしまうことにもなりかねません。


(ちなみに、青酸カリはそれ単体では有毒ではありません。青酸カリが胃酸などの酸と混ざってシアン化水素が発生するため危険なのです)


これらのことから、現実世界では工場などでの事故死や自殺を除いては青酸カリによる毒死というのはあまり起きていません。


しかし青酸カリは、『基本的に飲み込ませるまでは無毒』 なので殺害する側の事故死の可能性が少なく、空気中に放置出来ないので保存はやや難しいものの、他の毒物に比べると割とそのあたりも簡便な部類の毒であり依然としてフィクションの世界では毒物の王として君臨し続けるでしょう。











神経毒の怖さ


これとは別に、サリンやフグ毒などの 『神経毒』 は少量でも人間を簡単に死に至らしめます。


サリンなどの人為的に作り出された化学兵器が強力なのは当然ですが、フグ毒などの生物毒も非常に強力なものが多いです。


これは、体の一部を食べられてもそれだけで相手を麻痺させて本体が生き残れるようにしようという、進化の結果に強力な猛毒を得たと考えられています。


また、毒蛇が持つ神経毒も即効性のものが揃っており、これもまた足の遅い蛇が足の速い哺乳類などでも確実に仕留めて捕食出来るようにするためではないかと言われています。


蛇の毒と言えば真っ先に血清などの解毒剤が思い浮かびますが、神経毒の多くは血清による対処が難しく、フグ毒に至っては現代においても未だ有効な解毒剤は存在していません。










同様に、サリンガスやVXガスなどの科学合成された神経ガスも毒物として強力無比であり、呼吸はもとより皮膚からも容易に浸透して人体を侵します。

(概要については、前述の呼吸阻害剤の項で述べた通り)


そして、一度これらの神経ガス (神経毒) が体内に入ると、神経伝達物質であるアセチルコリンの分解作用が阻害され、中枢神経系を麻痺させてしまいます。


そうなると筋肉が動かなくなってしまい、やがて肺や心臓の活動が停止し、死に至ります。


しかも、神経ガスの厄介なところは、ガスを受けてたとえ死ななかったとしても、中枢神経系を侵されてしまうため高確率で後遺症が残ってしまうと言う点です。


元が戦闘に使うための毒ガスであるので、この 『後遺症が残る』 という点も、ガスから生き残った相手兵士をその後も戦闘不能にするため軍事兵器としての利点の一つとなります。


しかしながら、これがテロなどに用いられた場合はその部分が特に悲惨な惨状を呈する原因になってしまうということは、日本人であるならば周知の事実でしょう。













一酸化炭素


最後に、一酸化炭素について少し。


近年の流出事故や自殺目的での使用などがメディアで報道されるにあたり有名になってきた毒ガスです。


一酸化炭素は、よく二酸化炭素の知り合いみたいな感じで表現されますが、全くの別物でありれっきとした毒ガスです。


一酸化炭素の毒性は青酸カリから発生するシアン化水素の毒と似た作用で働きます。

(医学的な毒性の分類はシアン化水素と同じカテゴリーで扱われています。それぐらい猛毒)



一酸化炭素を肺に取り込んでしまうと、シアン化水素と同様に血中のヘモグロビンに酸素より先に結びついて占領してしまいます。


しかも厄介なことに、通常体をめぐって肺に戻ってきたヘモグロビンは運んできた二酸化炭素を肺で放出し、再度酸素と結合し直して再び体に流れていくのですが、一度一酸化炭素と結び付いてしまったヘモグロビンは簡単には分離しないので、一酸化炭素にさらされた状態がしばらく続くとやがて体中のヘモグロビンが一酸化炭素に占領されてしまい、酸素を運べなくなって酸欠で死んでしまいます。


一度一酸化炭素と結び付いたヘモグロビン (カルボニルヘモグロビン) とそれにともなう一酸化炭素の成分は、なんと一週間以上もの間体内に分解されないまま残り続けるそうです。

(脳などに蓄積されます)



もし、空気中にシアン化水素がばら撒かれていると分かったら、誰もが真っ青になって逃げ出すでしょうけど、一酸化炭素が混じっていると知った程度ではあまり慌てない人がいるかもしれません。


しかしながら、上記のとおり一酸化炭素の毒性は青酸カリのそれと同様の猛毒なので、甘く見ると簡単に命を落としてしまいます。


石油式暖房機の一酸化炭素漏れ事故があったとき、メーカーが血眼になって在庫や販売品の回収を行っていたのはこのためです。




・・・とはいえ、一酸化炭素はシアン化水素などに比べて中毒死に必要な量が多く、また仮に少量の一酸化炭素にさらされてしまったとしても、その後新鮮な空気を吸い続ければば殆ど何の障害も無い (大概は、一酸化炭素を吸ったことにすら気付かない) ので、シアン化水素などに比べて恐ろしくは無い毒ガスという認識は間違ってはいません。


それでも、毎年のように一酸化炭素中毒死する人が後を絶たないのは、このガスが完全な無色無臭であることが災いしていると考えられます。


また、上記のように体に蓄積されるので、致死量でなくても毎日のように一酸化炭素を何らかの形で吸い込み続けると慢性的な障害が出る恐れがあります。






その他、一酸化炭素について有名なお話と言えば、中毒死した患者の肌が綺麗なピンク色に染まることでしょうか。


これは、一酸化炭素が血中のヘモグロビンや筋肉中のミオグロビンと結び付くと、鮮紅色という特徴的な赤色に染まるためです。


昔はこれを悪用して、マグロなどの刺身向けの魚介類を流通前に一酸化炭素処理をして、故意に鮮紅色に染め上げてから販売したりしていました。


ご存知の通り、古くなった魚の肉はどす黒くなってきたり、色つやが悪くなってきたりします。


ところが、そのような魚介類であっても一酸化炭素で処理をすると例の効果で鮮やかな赤色が蘇るため、鮮度を偽って販売することが出来ました。


また、鮮度詐称目的でなくても、消費者というのは色つやが良い魚を好むため、販売促進目的でも行われていました。


当然ながら、これをされると消費者が魚の鮮度を判別するのが困難になり食中毒の原因にもなりえるため、日本では1994年にこの処理方法が食品衛生法で禁止されました。


それでも、輸入物のマグロなどではこの一酸化炭素処理をされたもの (いわゆるCOマグロ) が混じることもあり、未だに度々問題になっています。


まさに、医学の知識を悪用した典型的な例であると言えるでしょう。

















さて、これで一通り毒物についてのお話はおしまいです。


長い間私の駄文とお付き合い頂きありがとうございました。




勉強的なことはさておき、毒についての知識は人工呼吸とか心臓マッサージなどの知識と同じで、知っていればもしかすると毒で苦しむ誰かの命を救えるかもしれません。


しかし、悪用すれば誰かの命、もしかしたら自分自身の命を奪うことになってしまうかもしれません。


そういう意味で、剣にも盾にもなる知識だと言えますが、この記事が少しでも何かの参考になれば幸いです。

2011.05.07(Sat) | 心理学・小話 | cm(0) | tb(0) |

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